お披露目会



京の町家の屏風祭り


祇園祭のメインイベントの一つが山鉾(やまぼこ)巡行です。それを翌日に控えた宵山(よいやま)には、山や鉾の町内で懸装品が展示されます。同じころ町内の町家では、お客さまを迎える為の設えを整えます。その家、その家に代々伝わる屏風・お軸・人形等の家宝を飾り付けます。これが、ここ数十年前から『屏風(びょうぶ)祭り』と言われるようになりました。

祭りの時以外は、外からうかがい知ることが出来ない町家ですが、この『屏風祭り』の間だけは、通 りに面した格子や障子が外されて、内側を覗けるようになっています。歴史の重みを感じるものが大変多く、それを惜しみ無く解放して見せようとして下さる、その家の御主人の懐の深さを感じます。

余分なものは一切置かない、京都ならではの町家の晴れ姿は、この祇園祭の時期にしか見れないもの。そこにまた、町家の魅力があるのかもしれません。

今回は、この『屏風祭り』に重点をおいて祇園祭りを見てまわりました。お昼間の人が少ない時間帯を狙って行ったのですが、前日のお天気の悪さも手伝って、かなりの人出でした。いつもの宵山(夜)のコースと違って、南から北に向かって行きました。屏風を飾っている所は、離れていても分かるようになっています。幔幕が張ってあって、提灯(山や鉾の名前が書いてある)が出ているのです。それを目印にすれば大丈夫です。

夏の太陽が遠慮なく照りつける中を歩き、見て回ったのですが、町家、町家のそれぞれの設えを格子越しに見ると、暑さを忘れてしまいました。見ているだけで“涼”を取れてしまう、これが町家の夏座敷なのだとあらためて思いました。

また、屏風と一緒にお花が活けてありました。祇園祭の花、桧扇のお生花もありました。鉾や山を見るだけが、祇園祭りの楽しみと思ってられる方が多いと思います。これからは、祇園囃子に耳を傾けながら『屏風祭り』を見て回るのも、楽しみの一つに加えて頂きたいと思います。

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「誉田屋源兵衛」さんは、室町にある本店と三条店でされていました。三条店は、『屏風祭り』の時だけ内部を一般 に公開されてます。

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「荒木装束店」さんのところは、すごく色鮮やかなオリエンタルな屏風でした。こちらは、手を伸ばせば届きそうな場所で見ることが出来ました。


(プロフィール)
京 京都府 主婦
茶道や華道に興味を持って十数年、まだまだ見習いの域を脱しません。最近は、『和』に関するものを自サイトに載せることが楽しみです。

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「染のおくむら」さんのところは、屏風の前で小物類を販売されていました。売り子のお嬢さんがとても良い人で、「椅子に腰掛けてゆっくり見て行ってください」と、声をかけて下さいました



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「森井」さんのところには、大きな鉾のミニチュアが屏風の前にありました。こちらは、玄関の中まで入って見るようにしてありました。



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「吉田」さんのところは、『屏風祭り』にすごくこだわりを持ってられてます。毎年、趣向の違った飾り付けがなされてます。



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「吉田」さんのところは、『屏風祭り』にすごくこだわりを持ってられてます。毎年、趣向の違った飾り付けがなされてます。




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