「豪華客船でベトナムへ行く旅」特派記者報告(4)
■刺激と感動にあふれた旅
菊地富子(自由業)
豪華客船の旅を、2001年の最後にひとあし早くクリスマスプレゼントして戴き、10人のメンバーで5泊6日の旅に出た。JALサクララウンジでの初顔合わせ、自己紹介、皆さんさらりと言葉を交わすなか、最年長の私の声がうわずった。西は岡山から東は長野までそれぞれの年代が集まった。皆さん旅慣れた方々ばかりで道中、流暢に英語が飛び交い刺激を受けた。
いずれ近い将来船旅を、目的をもって船上での時の過ごし方をと心掛けていたが、こんなに早くチャンスが訪れこのような形でプレゼントして戴けるなど幸運である。何度か訪れた香港ではあるが、インタ-コンチネンタルのダイニングルームからの景色、また、部屋からの夜景は旅を満喫させてくれる異国の地である。翌日はいよいよ乗船。76000トンの客船はやはり想像がつかなかったが、レストラン等へ行くのも少々とまどった。そしてスイートルームも見学。ここでメンバーの一人が抹茶をたてて下さったことも心残る一駒でした。船上での3泊4日というのは意外にも時の経つのが早く、天気女を地でいく今回のメンバーだと聞いてたのだが、まんまと裏切られ、デッキでゆっくり横たわり本を読むとか音楽を聴き、ボーっとしている時がなかったことはとても残念に思う。
2日目の朝はべトナム ハロン湾、朝もやのかかった荘厳な景色はまさに海の桂林、無数の島々は世界遺産にふさわしい、ベトナム、いや世界の財産であると思う。今度の旅は期間が短かったにもかかわらず、同じ気持ちで応募したメンバーだけあって和気あいあい、また、幅広い年代との友を得たこと、私にとって最大の収穫。今後、交友深まらんこと祈りながらスタッフの方々と旅のメンバーに心から御礼申し上げます。

■「和」に魅せられた旅
シルビー・ジャコ(大学非常勤講師)
「和楽」の旅に十人の一人として選ばれたと聞いた時、わくわくしながらあることを決心しました。今回の旅こそ自分の時間を持ちたい、そして小説二冊とノートを手に、船の旅を楽しみたいと思っていました。ところが、天候に恵まれなくて、海が荒れていたので、船がよく揺れました。そんな状況の中で、活字を読む、まして文書を書くなんて不可能でした。しかしその分、予想もしなかったとてもにぎやかで、心が暖まる思い出深い旅となりました。
私にはこの旅で教えられたことがいくつかあります。全て「和」をキーワードにしたものです。まずは、「輪(和)で結ばれること」の大切さです。今までの団体旅行の経験を振り返ってみると、どうもグループで旅をするのは苦手だと自分で決めつけていたようです。でも、今回の旅を通
して、それは単に思いこみだったと分かりました。素晴らしい仲間たちに囲まれて、こんなに気持ちよく笑えたのは、何年ぶりかしら。私にとって、まるで「癒しの旅」のようなものとなりました。
二つ目は「和の心を持つこと」です。人それぞれの個性がはっきりしているほど、人とうまくやれることを学びました。つまり、限られた時間やスペース(船)の中、日常から離れていると、相手への思いやりの心がくっきり見えてくると思いました。そして、鏡に写
すが如く自分の弱いところ、強いところも自覚することができたのです。お互いの違いを乗り越え、互いのありのままを素直に認めていこう、そんな根本的な姿勢を改めて教えられたきっかけになりました。
三つ目は「和風のすばらしさ」です。中国、ベトナム、これらの国々では、和のルーツはまだ残っています。人の笑顔に、職人さんの手に、日本人が忘れかけている和の優しさがありました。私たちはこの旅で、それぞれ違う意味で、または違うやり方で、それをどこかで求めつづけていたという気がします。そのたった一つの共通
点を「和楽」という雑誌が形にしてくれました。私は愛する「和」を人の心の中に見つけることができました。皆さんありがとうございました。

■素敵な出会いの旅
谷本淑恵(ラジオパーソナリティ)
香港の最高級ホテル、目を見張るような豪華客船、船上でのゆったりした時間、世界遺産のハロン湾…どれもが素晴らしく、すべてが何かを訴えているかのような心地よい刺激。目をつぶると様々な光景が浮かんできます。でも、今回の旅行の一番の思い出というか、得たものは、何よりも一緒に5日間を共にしたメンバーとの出会いでしょう。
年齢も職業も、勿論今まで経てきたものもすべてちがう10
人。すごーく個性があるのに突起だっていない。自己主張があるけれど、それ以上に協調性がある。それぞれ目指しているものは違うのに、何故か共通
した感性を持っている。好みは違うけれど、他を認める許容がある。そして何よりも根底にあるハートが同じ…。やっぱり旅を共にしたみんなの顔が一番に、そしてずーっと消えません。「和楽」が与えてくれた素敵な旅は、生涯の友となるような人たちとの出会いの旅でした。ありがとう…。

■船内の極楽
渡辺育子(主婦)
船上の人となって三日目。ベトナムのハロン・ベイのツアーが終わる頃には、かなり疲れを覚えていた。今夜はフェアウェルパーティーもある。にこやかに楽しみたいし、夜もできるだけ長く皆と一緒に過ごしたい。手っ取り早く体調を回復させるべく、船内のフットマサージを予約することにした。予約は電話でも出来るから簡単だ。12階受付で名前を名乗ると、担当の女性が出てきてにっこり笑った。また、来てくれたのね、という笑顔だった。初日に、旅行出発までの日常の疲れを落とすために来たのを、覚えていたらしい。
人により、マッサージ師との相性やマッサージの強さの好みがあると思うが、彼女のマッサージは痛いほど強くなく、丁寧にゆったりとしている。マッサージ後も予定を組めるので、私には丁度良かった。彼女は中国本土出身で彼は中国に残っているらしい。と、ここまではお互いの片言の英語でなんとか会話が成り立ったのだが、後が続かない。話さなくてもちっとも構わないのだが、なんとなく話をしたい気持ちにさせる人だった。それでも前回は金城武が中国(香港?)でも人気があることを、紆余曲折の上、教えてもらう事ができた。初め、彼女と同僚の女の子が一生懸命名前を言うのがだ解らない。彼よ、とマッサージ室にあるTVに偶然映ったCMを指さして、やっと解った。これはうれしかった。
今日は、「ハロン・ベイは桂林に似ているね」、と言ってみたが、これが通
じない。たぶん地名の発音が違うのだろう。用意してきたノートに漢字を書くと「あぁ、クワィリン」と見事な発音が帰ってきた。とても綺麗な音だった。これに満足感を覚えると、気持ちも更に良くなり、後半はうつらうつらして話どころではなくなってしまった。45分で100HK$の時間は、瞬く間に過ぎるのだった。
|