「豪華客船でハワイ島を巡る旅」特派記者報告(1)
『和楽』そしてあなたへのラブレター
晝間文子(主婦)
9月15日から23日迄の9日間一人だけになる。今迄のすべてのしがらみから抜け出して、一人きりになれる。何をし、何を考え、そして何を得るのだろう。
晝間文子69歳、さあ新しい人生へのチャレンジ、元気に出発。空港まで送って下さったあなたの後ろ姿を見ながら「うん,まだまだいけるな」と感じました。
選ばれた10名の内8名が女性2名が男性、やはり私が一番年長、それもかけ離れた年上。同室の関川さんが二番目、でも52歳なんですよ。すぐ仲良しになりどこに行くにも一緒です。
16日 ハワイ島キラウェア火山国立公園観光。朝よりあいにくの雨、霧とガスの為パノラマで見渡せる火山帯が見えないので目を閉じて、こんなかなあと想像。寒い。ハワイで寒さにふるえるなんて考えられません。「またお前は」と疑りの眼差しであなたは私を見る事でしょう。午後1時出航。澄みきった空、紺青の海、その青さがどこまでも続いているんです。静かな静かな時が過ぎていきます。船の軋む音と波の音だけが妙に鮮明に耳を打つのです。陽が沈みはじめました。
17日 終日船中の為アロママッサージを予約しました。ガウンに着替え最船尾の待合室に入りました。大パノラマ、船尾の為地球の丸さを感じ走る船の足跡が白泡となって海の青さが一層深い色になっていくんです。ボディマッサージ、静かに時が流れて行きます。これぞ至福のひと時と言えるのではないでしょうか。英語の話せない私は「ベリーグッド」の一言だけ言ってあとは狸寝入り、軽い寝息を立てないと寝入っているように思われないだろうからと色々工夫する。そんな自分が面白く満足感にひたる。普通だと英語の話せない事にへんな劣等感を抱く人が多い中、逆にそれを武器にする。私はそんな自分が好き。
18日 ファニング島。ファニング島ってどこ。ハワイ観光協会に電話をしました。キリバス共和国と言って小さな小さな島で、このクルーズでないと行けないんです。この年になって又一つ勉強しました。タグボートで島に渡る。昔の自分に帰り上段の席によじ昇るもお尻が重く、よっこらしょの状態。あまり格好良くなかったかな。水辺にチェアーを持出し、半分海水につかりながら本を読んで居る外人夫妻。これが格好良く絵になって居る。あんなに陽に焼いてきょう寝られないんじゃないかな、なんて私は陽影でのんびり時がたつのを忘れてみんなの水遊びを見続けました。夜、船長主宰のパーティーに着物を着て出席。好評でみんなが写
真を写してくれました。同室の関川さんとは、いつも笑いころげていました。朝は家から持って来た煎茶を入れ、二人で“お目ざ”の甘い和菓子を食べるのです。両隣りのお仲間にも声をかけたところ、茶のおいしさに皆さんとても喜んでくれました。佃先生に学びはじめた煎茶道が役に立ちました。
19日 終日船上。関川さんとつるんで探検に出かけ、今更のように船の大きさに驚きました。7階でお仲間二人と出逢い4人で昼食を取りながら話に花が咲きました。私が、主人が会社を閉める時に主人宛に書いた一口メモの事を話すと一斉に3人が泣きました。みんな心やさしいんだなと思いました。人に話さない事を話してしまう。そんな雰囲気になる船と新しい友人の旅なのです。でもチョット、キザだったかな。
20日 マウイ島。ショッピングを楽しみました。ちょっと可愛いロングドレスを見つけ夕食時着て見ました。みんなが可愛いとほめてくれ、ママと呼ばれながらすっかり年齢を忘れている私です。関川さんとジャグジーに行きました。乗船してから初めての水着です。二人ではしゃぎ廻り「アユかしゃけの川昇りみたい」と彼女がいいました。「とどよ」又々二人でころげ廻りました。
21日 カウアイ島。30余年前友人3人と歩いた思い出の島です。舟の中、ハワイアンとフラの歓迎を受けながら川を昇り、心踊らせシダの洞窟へハイキング。今は亡き友に「ほら来たわよ」と心の中で叫び、思い出の地に立った自分にこの上ない喜びを感じました。
今日は最後の会食です。一人一人が思いを語りました。この旅で皆さんも大きな大きな何かを掴んだ事と思います。私自身とっても大きな花が咲きました。見知らぬ
方々との旅に不安がなかったと云えば嘘になるでしょう。でもそんなものあっという間にフッ飛んで旧知の仲のようになっていました。外国の老夫婦が仲良く手をつないで散歩している。いいな今度はあなたと、そう思いました。
二伸 「お帰り」やさしい夫の顔を見つけ、ほっとすると同時に「あのね」機関銃のように私のおしゃべりが始まりました。忘れないうちにこの旅の素晴らしさを一部始終話したかったのです。旅の間中、夫とエル(犬)と私が一緒に写
った写真を持ち歩いていた事はまだ彼に話していません。戦友である夫と一緒に旅して居る気持ちでした。彼もきっと『和楽』に「妻に幸せをありがとう」と感謝していると思います。

出会った木々や色鮮やかな花に心を奪われた旅
関川小夜子(主婦)
豪華客船で巡ったハワイ諸島は、それぞれに魅せられる島々だった。島に上陸する感覚は船旅でこそ味わえるもので、それはちょっと不思議な体験だった。とりわけ植物に感心のある私は、行く先々で出会った珍しい木々や、色鮮やかな花に心を奪われ通しだった。植物と人間は古くから共存し、その土地の象徴にもなっていることを再認識した。
ハワイ島へ向かうバスの車窓から見えた、立木に絡まる苔のような色をした植物は何なのだろう。名前が知りたくて、カメラに収めた。ファニング島の美しいビーチに似つかわしいものは、やはりみごとなヤシの木だった。又、大樹の木陰には屋台が設けられ、島の住民たちは、今が商い時とばかりにお手製の土産品を所狭しと並べ、船客を待ち受けていた。
マウイ島、ラハイナの街並は十九世紀そのままの姿とあって、素朴で優しくて、旅人の心を和ませてくれるものがあった。日本を発つ前に雑誌で見た、ラハイナの目印となる“バニアン・ツリー”に出会えて良かった。塩を含んだ水を吸い上げて成長する菩提樹と聞くが、幹から多くの木根が垂れ下がっている様子は面白く、忘れ難い光景だ。
カウアイ島では遊覧船に乗って、シダの洞窟へ。ジャングルの探検隊気分で進んで行くと、自生している植物のほとんどが、日本では観葉植物として室内で育てられているもので、身近かに感じられ、嬉しかった。
最後に、旅を終えての心境を、今凝って入る。『五行詩』に託してみた。
二〇〇二年九月
ハワイ諸島を和楽の友と
海より深い
感動
※レポートは、できるだけ原文のまま掲載いたしておりますが、文字数の関係上、多少、割愛または補足させていただきました。
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