「豪華客船でハワイ島を巡る旅」特派記者報告(4)
自分発見の旅で、幸せを再発見
葛城正己(会社員)
「フリースタイル・クルージング」…それはまさに、自分が一番、自分らしくいられる時を自分自身で創造できる旅でした。いろいろな自分を自由に演じられるように、そして、ときには自分でも忘れていた自分を発見できるように、そのための舞台は十分すぎるほど揃っているのです。
食事。10あるレストランの中から、今日は少しおしゃれして、心地良い緊張感を持って…。今日はラフなスタイルでフランクに…。「今日はどんな自分でいようかな?」と考えるのはとても楽しいものです。
船内アクティビティ。ふわふわと水に漂いながらデッキのプールでリラックスするも良し。アクティブにジムで身体を動かすも良し、「フラダンス」の講習などに参加するも良し、それこそスパでジャグジーにつかった後、ガラス越しに差し込む優しい日差しを浴びながら、昼寝を決めこむも良し。
夜は華麗なミュージカルショーで非日常体験を味わったり、静かなラウンジでピアノの調べに酔ってみたり。
そして、各島に上陸してのオプショナルツアーでも、いろいろな自分を楽しめます。雄大な火山の景観に地球のエネルギーを感じたこともあったし、自然の中を自転車で走り回ったあげくに出遭ったキラキラ輝く海に思わず見とれたこともあったし、限りなく碧い海で必死に息をこらえて潜っている自分に「プッ」と笑ったこともありました。
一瞬一瞬、それこそ、ただなんとなく海を眺めている時間や、普段なら無駄
に過ごしているように思える時間さえもが、全てシナリオを創って味わっている、とても愛しい時間。何ともいえない幸せな空気を全身の細胞の隅々までに吸い込んでいたような感覚でした。普段忘れてしまいがちな遊び心たっぷりの自分や、優しい穏やかな気持ちの自分を再確認して、「自分もまんざら…」などと思えるのでした。
そうしているうち、心に素直に浮かんできたことは、「おかげさまで」や「ありがとう」の言葉。
今回のツアーの為にご尽力下さった関係者の方々はもちろんのこと、豊富な経験と前向きな明るさ、温かい心を持った参加メンバーの笑顔にも、このツアーに参加できたことを心から喜んでくれた自分の家族や友人にも。そして、辛いことも含めて様々な過去の経験にも、全てに対して感謝の気持ちを持てることを改めて知り、それは私の人生において大きな意義のあるものだと感じています。
「フリースタイル・クルージング」…それはそれは、自分の存在そのものに幸福を感じさせてくれる素晴らしい旅でした。

それぞれに魅せられた一週間
中西洋子(レストラン経営)
乗船したその瞬間、好きに過ごす(フリースタイルクルージング)という贅沢な旅は始まった。毎日、ほぼ同じリズムの生活から解放され、旅というよりこの上ない幸せな生活の始まりであった。しかもハワイ諸島を巡るという…。
船内は想像以上の素晴らしいもので、体感、感動というものは、軽々しく口では伝えられないということを、今回改めて認識した。それほど私にとって、スケールの大きいものであり、そしてこの感動は沢山の人に味わっていただきたいとも思った。
豪華客船であるのに、豪華ではない普通の私が、なぜかすんなりと溶け込み、以前からこの船上で優雅なときを過ごしていたと、錯覚したのは私だけであろうか? 一体自分は、どこから来て、何者であるかなどとは、全く無縁の世界。クルーたちの笑顔とフレンドリーな乗客たちの笑顔。そしてハワイという自由な空気が充満しているからそう感じさせてくれるのだろうか。
朝、目が覚めてカーテンを開けると、どこまでも続く水平線。薄暗い水平線が、少しずつ青くなり、薄紫色からピンク色になったり。バルコニーに出て、波と風の音に挨拶を交わし、朝日で変化していく空と海の色を楽しむ。
朝食ビュッフェに行けば、さまざまな国からの乗客たちと目で挨拶を交わしながらの朝食。その食欲と陽気さに心が和む。デッキでの昼寝は、ハンモックで寝ているようで心地よく、船上でのほどよい風と航走する波の音が、私に子守歌をささやいてくれる。ジムの充実も私にとって最高であり、室内で海をみながらのエアロバイクは、まるで海の上を走っている気分になる。
ジムとスパで汗を流した後、プールに入り、一休みするチェアベッド。船尾にあるそこは、私の一番のお気に入りスポットで、もちろん全面
ガラス張りになっていて、足下から続く航跡が水平線につながり、とっても素晴らしい。いつでも、どこからでも水平線が見えるのも客船の醍醐味なんだろう。
夜のレストランでは、ゆっくりゆったりと食事をし、劇場では、船上とは思えないショーなどで驚きを得、ミュージカル等で素敵なひと時を過ごし、シャンペンバーでは、ピアノを聞きながら、叉も優雅な気分に浸る。とにかく、毎日その一時が最高の贅沢な時であり、一日の終りには、身体中が味わったことのない充実感、満足感でいっぱいになる。
ベッドに横たわると、かすかな船の振動が、その最高の気分をより一層、体の中に染み渡らせてくれる。
船旅でしか味わえない、島に上陸するという感覚。未知の島ファニング島。
沢山の感動との出会い。人と人、人と自然との出会いが、私の感性を刺激し、今後の人生において、大きな大きなパワーを与えてくれた気がする。いや、まちがいなく何かが、変化した。
最後に今回この贅沢な旅が、心おきなく過ごすことが出来たのは家族のおかげであり、そして素晴らしい素敵な出会いを与えて下さった関係者の皆様に感謝の気持ちを、決して忘れることなく、今後も自分なりの出会いを求めて、歩き続けたいと思う。

「豪華客船で優雅に楽しむハワイの旅」レポート
高津和彦(アナウンサー)
ぼくにとっての今回のハイライトは、今まで行けるなんて考えたこともないファニング島。ハワイ諸島から南下すること約2000キロ、日本列島の端から端くらいの距離、陸地というものを見ることなしに、91,000トンの豪華客船ノルウェージャン・スター号は大平洋のど真ん中を走りに走って1日半。
朝起きるとライトグリーンの目にも鮮やかな椰子の木の林が、真っ青な空の下にまるでスポットライト浴びているかのように横たわっていた。それは、本当にけがれのない純粋無垢の地球の雫のように、ぼくには思えた。
事実この島は、ほんとうにいとおしくなるくらいに純粋なのだ。例えば「島の子供たちにちっちゃなプレゼントを持っていくと良いでしょう。」とガイドブック。でも、持って行ってはだめなもの。電気で動くおもちゃ。電気がないから。電池もだめ。売ってないから。甘いお菓子はだめ。歯医者さんどころか医者がいない。その前に、子供はそんな甘いものを食べたことがないのですぐに虫歯になる、というのだ。
島の学校はトタン板1枚の屋根のバラック。あるとき、乗客の中にシロウト手品をやる人がおり、スタッフがその学校で披露することを勧めたそうな。子供たちは見たこともない手品にビックリ。その話は長く島の人々のあいだで語られたそうな。
1945年にナショナル・ジオグラフィック誌がこの島を特集したことがある。その時の写
真はまるで昨日撮ったような、まったく変わらない写真なのだそうだ。
「ヒト」という生き物が自然の中で、自然に何の迷惑もかけずにゆっくりと暮らしている。「豊かさ」とか、そんな言葉とは関係のないところでの生き方だろう。あのあたたかい目をした島の人たちに聞いたとしても、誰が金持ちだとかそんな観念自体、たぶんないに違いない。
さぁーっと降り注いでくるような透明の太陽光線。嵐もあるだろう。いったいこの島の人は何年にもわたってどんな暮らしをしているんだろうか。一つ確実に言えることは、「モノ」には毒されてはいないということだろう。ずっとずっとこの島がこのままでいてほしいと願うことは、あながちこの島の人たちにとって冒涜ではないという気がしてきた。
ほんの半日島にいただけだったが、ファニング島は今までに味わったことのないやさしい衝撃を、ぼくの心に与えてくれた。
そして日本に帰って、この島が地球温暖化の現象で少しずつ小さくなっていると聞いたとき、ぼくは涙が出そうになった。
※レポートは、できるだけ原文のまま掲載いたしておりますが、文字数の関係上、多少、割愛または補足させていただきました。
|