お披露目会



「金塚晴子さんと金沢“和菓子ざんまい”の旅」特派記者報告(7)

■胸があつくなった和菓子歓談

小辻憲子(主婦)

楽しみにしていた金沢への“和菓子ざんまいの旅”。期待と不安で待ち合わせの「壽屋」へ。ところが、初めてお会いした皆さんとは思えないほど楽しい旅になりました。赤いお膳でいただく本格的な精進料理、とても美味しくいただきました。「かよう亭」では心づくしのご馳走を和気あいあいとした雰囲気でいただき、ここにいる自分を幸せに思いました。また、楚々とした金塚先生と、心のこもった和菓子をつくってくださったいかにも実直な職人、福さんとの歓談は、とても温かく、お菓子に対するおふたりの心を感じてなぜかジーンとくるものがあり、胸が熱くなりました。素晴らしい息のあった歓談でした。

■貴重な友人との出会い
塩島美砂(会社員)

創刊号から『和樂』を愛読し、やっと参加できた今回の旅。「かよう亭」で同室となった仲間は、とても個性的でハイソ、皆さん自分という“個”をとても大事にしていて、各方面 で活躍されていました。そんな方々との出会いに、私もがんばらなくちゃ、と意識づけられた旅でした。金塚先生も、物腰の柔らかで上品な素敵な方で、いただいた和菓子もどれもおいしかったです。これからも、何度も応募したいと思っています! ありがとうございました。



■プロであること
中西喜美枝(ギャラリー経営)

伝統ある精進料理「壽屋」、四季折々の自然が堪能できる「かよう亭」、どこも期待以上のお店でした。和菓子の金塚先生、「福文」のご主人のお話、ともにご苦労はおありだったと思いますが、その苦労さえも楽しみに変えるような…。修業をつまれ、本物となられた方だからこそ出せる魅力、内からにじみ出るようなお人柄に、同じ時をご一緒させて頂くだけで豊かになる不思議を感じました。仕事のプロになることは、時間、努力、投資をおしまずコツコツと続けること、それが最大の価値であり、文化だと思います。私もそんな生き方を選びたい! 本当に、目も口も心も大満足の素敵な2日間でした。



■口福な旅
平田高子(書道塾講師)

金沢での旅は、口福な、幸福な旅。温和な雰囲気を醸し出す金塚晴子さんの魅力にも触れ本当にいい旅だった。いつまでもここにこうしていたいと思える場所と時間だった。憧れのかよう亭でいただいた贅沢な心のこもった料理のあとで、お菓子をおさめた箱を開けたときの感動。葛の下に透けて見える涼やかな紫の色、その名もゆかしい「水蛍」。大きなギボウシの葉に取り分けあったあんのそれぞれのおいしさ、微妙な変化を味わうことの楽しさ。気温や湿度、時間も配慮しながら和菓子をつくっている職人の繊細な心配りを感謝しながらいただいた。同室になった友人には多くのことを教えられ、助けられた。今、その幸せな旅を思い出して懐かしむという、また別 の幸福な時間を過ごしている。



■刺激的な出会いの旅
松井美代子(会社員)

金沢での素敵な、贅沢な時間の旅から、また普段のいつもの時間が流れはじめました。感性豊かな25人と出会えたことは、半世紀生きてきて“これから…”の私にはとても刺激的な出会いの旅でもありました。また、金塚先生の何も気負わないやさしい笑顔がとてもあたたかく、福さんのおまんじゅうのようなおだやかな顔…、とても印象に残っています。茶席に出すために、場所、時間を考慮して材料を深く吟味しているにもかかわらず、でき上がったおまんじゅうは、お皿の上で格別 の自己主張をするわけでもなく、まるで普段着の顔をして、でも凛とすわっていました。極めていること、人ほど凛として普段着のようなんだと深く感銘しました。



■憧れのかよう亭
黒田佐和子(主婦)

滴るような新緑の樹々、一万坪の敷地のなかにまるで身を隠すかのようにたたずむ「かよう亭」。部屋はわずか10室。昨今流行のこれみよがしな和風ではなく、いわば本物とは何ぞや、ということを無言で教えてくれるかのようなしつらえ。窓の外は、ひたすら静かな新緑の林。時折野鳥の声が静けさをやぶるのみ。「かよう亭」といえば料理。たった今採ってきたばかりの味がする料理というのは、世の中そうないのではないか。箸休めの「春の名残」と題された山菜6種の和物は、野趣に富みながらも繊細な味で、大地の恵が体に染み渡るようであった。
もうひとつのご馳走はお風呂。ガラスの大窓からは、鶴仙渓の支流と美しい緑の自然を臨むことができる。夜はぽっかりと丸い月が浮かび、青白い光が木々を照らすさまは幻想的ですらあった。体全体が自然にすっぽりと包まれたかのような錯覚を覚え、上質の温泉とあいまって、体の芯から癒された気がした。本当に、我々が「かよう亭」に泊るにふさわしい“大人”になれたと感じたときに、きっとまた来よう。その時は、今はまだ小さい娘も連れて、本物とは何かを教えてあげよう。




■自分を見つめ直す旅
佐藤知子(主婦)

せっかく一度の人生なのだから、できるだけ多くの人と話し、生き方を知り、自分を見つめ直す。そういうことって大切なのだ、と気づかせてくれたのが今回の旅でした。そもそも今回の参加目的は、初めて行く金沢、山中温泉で大好きな和菓子を、金塚さんのお話を聞きながらおいしくいただく、軽い気持ちでの応募でした。私の頭の中には参加者との交流など、なかったように感じます。ところが2日間ともに過ごし話してみると、一見普通 の女性達の何と奥深く素晴らしいこと、そして何て自分はつまらなく、流されて生きていることかと、頭をかなづちでたたかれる思いでした。素敵な人たちとの出会い、大切なことに気づかせてくれた今回の旅に感謝しています。



■目も口も心も幸せなひととき
和田文江(主婦)

『和樂』2月号の特集で見て憧れていた「かよう亭」に泊ることができたことは本当にうれしい限りでした。「壽屋」での顔合わせ、精進料理、群青の部屋、器もすばらしいものでした。東茶屋街での散策後、バスにて山中温泉へ、ガイドさんの説明もなかなかに興味深く、特にこおろぎ橋(行路危橋)のくだり、山中節の説明も楽しくききました。
山中温泉は、本当に山の中、豊かな自然と豊かな人情、歴史と文化に培われ、今、自分たちの周りにあるものを大切にしていることをいろんなところで感じさせられました。人が居て快適な場所、料理も、もてなしも、適度な緊張感があってとても心地良いものでした。
和菓子ざんまいのメイン、金塚先生と福文さんのトーク、ゆったりと、時間のたつのを惜しむように、おふたりの並々ならぬ 和菓子に対する思いを聞くことができました。その折の「水蛍」、夕闇と共に趣きに富んだ名菓、おみやげの「唐衣」「あじさい」、本当にこれぞ本物と目も口も幸せなひとときでした。

※レポートは、できるだけ原文のまま掲載いたしておりますが、文字数の関係上、多少割愛または補足させていただきました。

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壽屋入口。旅のスタートはここから。



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建物の説明から、料理の食材に至るまで丁寧に説明してくださった「壽屋」のご主人。



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東茶屋街の喫茶「兎夢」。ここでも金沢ならではの生菓子が楽しめます。



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「兎夢」店内。女将がうさぎ年であることろから名づけられたそう。



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「かよう亭」廊下にはこんな粋な演出も。



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さりげなく生けられた花にも風情が。



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夕食の前にお風呂を楽しんだ参加者は、浴衣姿でリラックス。



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歓談終了後も、参加者からの質問に丁寧に答えてくださるおふたり。



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「日本一の朝ごはん」といわれる朝食。


「樂」メイン



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