取材現場から
 9月の3日から16日まで、ニューヨークに取材で滞在していた編集部・矢野。11日朝勃発した同時多発テロのため、取材は残念ながら途中で断念し、記事の掲載も時節がら掲載延期となりました。そこで、テロ前日まで取材した内容を、せめて『和樂庵』でお伝えできればと、取材日記の一部を公開させていただくことにしました。



ニューヨーク取材日記

今月の担当者/矢野文子(本誌編集部)

 

9月9日(日)
現地入りした翌日から、さっそく取材開始。取材場所の下見や2002年春夏N.Y.コレクションに出席し、取材もほぼ半ばにさしかかったこの日。マディソンAv.にできた「ダナ・キャラン」のニューショップのオープニングパーティに出席。ダナ・キャラン本人が参加してのパーティは、洗練された中にもアットホームな雰囲気がいっぱいの、素敵なイベントでした。
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新ショップの一角からガラス越しに見えるのは日本庭園(写真左)。石を敷き詰めた 池に花が浮かべられ、奥には、ダナの亡くなったご主人(彫刻家)がコレクションしていた石の彫刻も置かれています。ニューショップの店内には、秋冬もののメンズ、ウェメンズ新作(写真右)はもちろんのこと、キャンドルや箸、お香などジャパニーズグッズもたくさん。


9月10日(月) 夕
この日は、「マーク・ジェイコブス」のコレクションに出席。ダウンタウンが一望できるチェルシーピアの特設会場には、セレブリティも大勢つめかけました。ショーの後、マークが初めて発売する香水の発表会が行われ、大にぎわい。 美しいダウンダウンの夜景を一望しながらシャンパンをいただいた夜。まさか翌朝にあんな事件が起きるとは…。
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会場の天井からは、イサム・ノグチの“AKARI”シリーズで有名なまるいぼんぼり風のライトがずらりと吊り下げられていて、和の灯りがとても効果的に会場を盛り上げていました。


9月10日(月) 夜
ショーの後、遅いディナーをSOHOの「マーク・ジェイコブス」ブティック向かい側にあるレストラン「HONMURAAN」で。おいしいそばで有名な日本の「本村庵」のニューヨーク店です。SOHOのアーティストご用達店ともいえるほど、おしゃれでおいしいと評判を呼んでいます。レストランの入り口には、マネージャー西森さんのフラワーアレンジメントが飾られており、洗練された和の雰囲気を醸し出しています。
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「HONMURAAN」でいただいた、板わさと出し巻き卵(写真左)。和のテイストにここ ろ安らぐひととき。個展を開くほどの腕を持つ西森氏のフラワーアレンジ(写真右) は、凛として、店内に心地よい緊張感と安らぎを与えています。


9月11日(火)
朝8時半から、34丁目のウエストサイドにある「コーチ」本社でブレックファスト・レセプションに出席。おいしい朝食をいただきながら、春夏の新作バッグを取材した後、外に出ると救急車や消防車がひっきりなしに行き交っているではありませんか。待機しているはずの車がなく、ケイタイで呼び出そうとコールしてもまったくかかりません。とりあえず通 りかかったタクシーに飛び乗ると、ドライバーが興奮して「空を見ろ!」とどなります。ちょうど2機めの飛行機が追突した直後かと思われますが、ダウンタウン上空が煙に包まれています。ミッドタウンのホテルになんとかもどり、同僚たちと部屋で待機していると、テレビから信じられないニュースが…。

おかげさまで、我々取材班は予定どおり無事帰国することができました。私は以前NYに留学していたこともあり、友人や親戚も在住しているため、本当にひとごととは思えません。ニューヨークの復興を一日も早く祈ってやみません。末尾となりましたが、今回のテロ事件で被害にあわれた方、ご家族のみなさま、関係者の方々に、心よりお悔やみ申し上げます。



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