取材現場から其の2

 今回の「和樂」贔屓の会は、本誌でも活躍中のきもの研究家・森田空美さんと京のきものを巡る会。当日は、総勢40名のきものファンのみなさんが参加しました。森田先生からきものの着付けについてのお話を伺い、京の“きもの”をキーワードに、町家造りの美術館「紫織庵」で長襦袢の歴史を、友禅染の老舗「千總」では京友禅の制作過程や下絵を拝見。凛とした着姿が美しい森田先生の魅力に触れ、きもの熱高まる充実の一日となりました。




森田空美さんと
京のきものを巡る会


撮影/西山奈々子 文/斎藤諭美(贔屓の会担当)

平成19年11月19日(月)11時半から、和樂贔屓の会「森田空美さんと京のきものを巡る会」が催されました。集合場所の「ちもと」に続々と到着した参加者の中には、きもの姿で参加された方も大勢いて、古都の面影を残す街並みにしっくりなじんでいました。

会の始まりは森田先生のお話から。「きものは自分自身を表現するもの。シチュエーションや立場、どういうふうに見られたいのかを考えて選ぶと自分らしく素敵に見えます。」「きものの着つけは足し算の作業。うっかりすると装飾過多になって、きものだけが目立ってしまいます。コーディネートは色を整理する作業でもあるんですよ。色をちょっと抑えることでモダンさが出て、潔さが強調されるのです。知的な装いというのは、そういうことでもあるんです。」など、ためになるお話を聞くことができました。

さらに、「先生のように帯揚げを結ばないでふっくらときれいに仕上げるには?」という参加者の質問に、「長い部分を内側に畳んで入れてしまいます。そうすると、厚みが出るんですよ。」と、アドバイスが。質問した方をモデルに、実践で教えてくださる森田先生。みるみるうちに美しくなった質問者の着姿に、みなさん感嘆しきり。凛とした、森田流着つけのポイントを直に学ぶことができました。

鴨川のせせらぎに耳を傾けながら、四条大橋の「ちもと」で料亭料理を堪能した後は、長襦袢の美術館「紫織庵」へ。「明治時代から大正時代にかけての柄はとてもモダンで…」という、館長さんのお話どおりのレトロモダンな長襦袢をたっぷり鑑賞しました。すぐ近くにある京友禅の老舗「千總」へは、全員が徒歩で移動。途中、「最近は京都でもあまりきもの姿を見かけないのに、みなさんきれいにきものを着ていて素敵ですね。」と、地元の人に驚かれる場面も。「千總」では京友禅の制作工程や、友禅染の祖・宮崎友禅斎が挿絵を描いた歌本などを拝見しました。

会の最後は、森田先生の新刊「知的きもの新ルール」(小社刊)のサイン会。ひとりひとりとにこやかにお話をしながら、丁寧にサインをしてくださった先生。中には、「友だちへの一番のおみやげです。」と、たくさん購入された方も。「森田先生に“おしゃれの極意”を伺うことが出来ました。少しでも先生の魅力に近づきたいと思って努力します。」「森田先生の凛とした着姿や立ち居振る舞い、素晴らしい人間性に触れ、きものへの想いがさらに深まりました。」と、皆さん充実の一日になったようでした。

取材現場写真
当日は、森田好みのきもので参加された方も多数。

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ご自身のパーソナルカラー、グレーのきものがお似合いの森田先生。

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質問した人をモデルに、先生自ら帯揚げの見せ方の手ほどきを。

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デザインが大胆な大正時代の長襦袢を熱心に鑑賞する参加者。

取材現場写真 取材現場写真 「まあ、素敵!」と、森田先生のきものの背中にある“おしゃれ紋”に見入る人たち。 取材現場写真 取材現場写真 老舗「千總」の友禅染の制作工程を、詳しい解説と映像で学びました。 取材現場写真 取材現場写真 この日のお話をより詳しく学びたいと、先生の新刊を求める参加者。

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