うぶ歌舞伎ファン「女形役者福助贔屓」
 東京・新橋演舞場の「二月花形歌舞伎」は、中村福助丈が大活躍でした。昼の部の「鏡獅子」では可憐な小姓と勇壮な獅子をみごとに踊り、そして夜の部では鶴屋南北の「杜若艶色紫(かきつばたいろもえどぞめ)」で、土手のお六と八ツ橋の二役を早替わりで演じました。さらに「毛抜」にも腰元巻絹で登場。贔屓にとってはもうたまらない舞台でした。さあ、ここでじっくりと余韻を噛み締めましょう!
今回は、カメラマンの三浦憲治さんが撮った「杜若艶色紫」の、土手のお六と八ツ橋の姿を披露します。



【あらすじ】
下野国佐野の百姓次郎左衛門が吉原の遊女・八橋を惨殺した事件を描いた「佐野八橋物」のひとつ。お六は、金を手に入れるために乞食坊主と手を結んで三河島にある「万寿屋寮」に乗り込んだ。吉原の八ツ橋に自分は姉だと名乗り、八ツ橋と恋人は敵同士だと騙す。結ばれることが許されない(名刀二字国俊を紛失して浪人となった)恋人のために、名刀を手に入れるためにわざと愛想をつかしたふりをするが、それに激怒した恋人は八ツ橋を殺してしまう。八ツ橋を騙したお六だったが、実は本当の姉妹だったことを知り、乞食坊主を殺して名刀を手に入れ、八ツ橋の恋人に刀を手渡す…。

福助写真 さてこの写真は、江戸の風俗・見世物小屋の蛇使いのお六です。懐からにょろにょろ蛇を出してうっとり笑った表情が妖しくて素敵。

福助写真 こちらは美しい八ツ橋の姿の福助丈。

福助写真 福助写真
奥女中に変装したお六が「万寿屋寮」に乗り込んだ場面 。屏風の陰に入った瞬間に二役早替わりして、お六になったり八ツ橋になったりと、みごとな早業でした。

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貫禄のあるお六。衣裳なども江戸好みの色合いで素敵。


●この撮影の後、三浦憲治さんは福助さんのリクエストで、昼の部の「鏡獅子」も撮影しました。素晴らしい舞台に加えて、早替わりの舞台裏もバッチリ激写 。次回に乞うご期待!
3月の福助さんは京都南座で源氏物語に出演し、4月は名古屋です。追っかけのみなさま、楽しい春を迎えましょう。
スケジュール及びチケット購入のお問い合わせは、中村福助裏梅会事務局
文/新居典子(本誌編集部)

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