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十一月の中村福助丈。写
真は、『積恋雪関扉』(つもるこいゆきのせきのと)の傾城黒染実は小町桜の精です。同じ興行で公演された豆松島の初舞台を観ようということで「和樂贔屓の会」で歌舞伎座に行った担当者・成川さんが、編集部に帰って私の顔を見るなり、真ん丸い目をしてこう叫ぶのでした。「今月の福助さんの舞台を観て、私、鳥肌が立ったのよ。毎月毎月飽きもしないで、福助さんを追っかけて写
真を撮り続けている三浦さんと新居さんの気持ちがやっとわかったわよ!」と。ちなみに「関扉」という演目は、子供のころから芝居が嫌いだったという福助丈が高校生のとき、今は亡き中村歌右衛門の傾城黒染の舞台を観て感動し、生涯歌舞伎俳優として生きていく決心をしたと言う大切な演目。その関扉の初役とあって、気合も十分。この世の者とは思えない妖しい美しさと、いかにも桜の精らしい気高い品に満ちていました。そのオーラに成川さんもすっかり打ちのめされたらしいのです。
さて、福助丈、十二月は勘九郎丈の最後の舞台でもある歌舞伎座、昼の部で、近松門左衛門作『八重桐廓噺』(やえぎりくるわばなし)の嫗山姥(こもちやまんば)。夜の部では、愉快だけど切ない『たぬ
き』、渡辺えり子が勘九郎さんのために書き下ろした新作『今昔桃太郎』に出演中。『たぬ
き』の中で福助丈扮するお染がきものを着替えるシルエット・シーンがあります。よ~く見てくださいね、胸に膨らみがあるのです。さて、それは。なぜでしょう?その秘密は次号のお楽しみに!
撮影/三浦憲治
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