撮影/竹前 朗 文/成川照美(贔屓の会担当)
会は、平成18年11月 15日(水)13時に、京都駅近くの新・都ホテルに集合するところから始まりました。全員が揃ったところでバスに乗って出発。約一時間の小旅行の後、晩秋の「延暦寺」に到着です。晴天に恵まれ、途中の比叡山の紅葉や琵琶湖の美しさに感動し、これから体験するお茶会やコンサートにも自然に期待がふくらみました。
まずは比叡山の迎賓館と呼ばれる、一般の人はなかなか入ることができない「大書院」の、見事な襖絵や造りを、僧侶の山形宗湛(そうたん)さんの案内で拝見。その後、三室からなる「旭光の間」で「瓢亭」の精進弁当の昼食を。隣の部屋にしつらえたお茶席では、メンバーのギュンター・ザイフェルトさんたちも参加され、慣れない手つきでお菓子をいただいたりと和やかなひととき。
あたりが薄暗くなったころ、コンサート会場の根本中堂へ移動です。国宝の建造物の中でクラシックコンサートが聞けるなんて考えただけでわくわくします。全員が席につくと、まずは仏教儀礼の賛歌“声明(しょうみょう)”(声楽)が始まりました。低く流れる僧侶たちの声が冷えきった堂内に響き渡り、心と感性がしゃっきっと研ぎすまされたような感じです。
その後、ウィーン・フィル管弦楽団の巨匠12名で結成した「ウィーン・クラシック・プレイヤーズ」の演奏が始まりました。軽やかに、ときには荘厳にと、美しい音色の演奏に酔いしれたひとときでした。アンコールでは、おなじみの「ラデッキー行進曲」も演奏され、ラスト曲「紅葉」を客席も一緒になって歌い上げるという、心に残る会となりました。
しんしんと底冷えのする堂内での演奏の感動もさめやらぬまま、帰りのバスが待機している所まで深夜の延暦寺内を突き抜けます。車内では、しばらくその感動を語り合い分かち合いました。その後も彼らのCDを購入したりと、楽しい時間を過しながら帰路につきました。
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僧侶たちによる声明が堂内に厳かに響きわたる。 |
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ウィーンフィルの演奏の最後には全員で『紅葉』を。 |