取材現場から其の2

 今回の『和樂』贔屓の会は、漆と朝市で有名な能登の輪島に、本誌でおなじみの漆 塗師・赤木明登さんを訪ねました。この会が催された20日後に、能登半島地震にみまわれた赤木さんの工房や和倉温泉の多田屋さんも、元気に復興中。読者の皆さまからの励ましをたくさんいただいたとかで、赤木さんから「僕たちは元気です。ありがとうございました」のメッセージが届きました。




能登半島の和倉温泉で冬の味覚を味わい
『漆 塗師・赤木明登さんの世界に触れる旅』


撮影/西山奈々子 文/成川照美(贔屓の会担当)

会は平成19年3月 4日(日)15時から、石川県・和倉温泉「多田屋」に集合するところから始まりました。18時からの懇親会までは、館内のギャラリーに展示されている赤木さんの作品を鑑賞したり、「多田屋」自慢の浴場で、和倉の湯を堪能したり。自由時間をたっぷり楽しみました。

夕刻からの贔屓の会では、赤木さんが輪島塗りに惹かれてこの地に移り住んだことや、“塗り物”についてのお話が。「ふだん使いの“塗り物”は、使うほどにツヤがでます。手入れが大変だと思われがちですが、自分の手と同じように扱ってください。ぬるま湯で洗って、さっと拭いてやればいいのです。」と赤木さん。食事時には、料理が盛られた器を赤木さんご自身が、ていねいに説明をしてくれました。後半は、皆さん積極的に質問を。漆器は素材や質がわかりにくいが失敗しない購入法は…という問いに、「作り手の顔が見えるような物を買うように心がけて」とアドバイスも。

翌日は、小川のせせらぎと木々に囲まれた赤木さんの工房を訪ね、作品の制作過程を案内していただきました。「赤木さんの作品の味わい深さは、そのお人柄と、自然の中で生活しているからこそ生み出されているのですね」と、工房を拝見して実感。その他、輪島の朝市や間垣(まがき)の美しい大沢を訪ねるなど、日本海の風情も肌で感じた、充実の2日間でした。

「赤木明登さんの作品は、写真で見るのと間近で触れて見るのでは、かなり印象が違いました。料理が盛りつけられると器の表情がまた変わり、洗練されたフォルムの中の力強さに感動しました。宿も広くて、お風呂や料理にも大満足。赤木さんの言われる“もっと身近なものとしての塗り物”という世界を見て触れて学んだ、素敵な旅でした」と皆さん、大満足の旅でした。

※能登半島地震で被害に合われた能登の方々に、心より御見舞い申し上げます。


取材現場写真
輪島の朝市で、山草や野菜を購入する参加者。おばあちゃんたちとの会話も弾む。
取材現場写真 取材現場写真
日本海沿いにある、間垣(竹製の風よけ)に囲われた漁村、大沢を散策。
取材現場写真
ていねいにわかりやすく話をしてくれた赤木明登さん。
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宿の桟橋から七尾湾の夕陽に見とれる参加された人たち。
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料理に使用された赤木さんの器を、手にとりじっくり拝見。
取材現場写真
赤木さんの工房をたずね、素朴で無駄のない作品の作り方などのお話を聞いて。
取材現場写真
工房の入口に並べられた作品たち。ひとつひとつに込めた愛を感じます。

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